世界に取り残される日本
世界経済・未来社会をけん引するスタートアップ(ユニコーン)
世界の企業の時価総額ランキンクを見ると、GAFAM、エヌビディア、テスラが上位7社を占めており、GAFAMに象徴されるスタートアップから成長した新興企業が世界経済をけん引している。
ちなみに、米国企業の株価指数の推移から、GAFAMを除外すると、日本企業(東証)と大きな乖離がない水準で推移していることからもわかる通り、スタートアップ企業の存在は極めて大きく、スタートアップ(ユニコーン)が米国の経済成長、世界の社会変革をけん引していることは明らかであり、起業家育成の社会的重要性が示されている。
世界の潮流に取り残される日本社会・経済
国の競争力に相関する重要な要素は、起業力や経済・産業の新陳代謝であり、 我が国における起業活動の弱さや経済・産業の新陳代謝の停滞や遅れが、各国との競争力の比較において、 ビジネス効率性の低さ・弱さとなり、競争力順位全体を押し下げる要因となっている。
我が国の起業への取組の極端な弱さは、国内ベンチャーキャピタル投資の実績を見ても、ユニコーン数の国際比較を見ても明らかであり、 ユニコーンに牽引された経済、社会の変革が進む諸外国の潮流から取り残され、閉塞感の漂う我が国経済、社会を象徴する事象の一つとなっている。また、人材面においても、 最近、我が国の将来を担う若者の就職志向が、大企業から外資系コンサルティングファームやスタートアップにシフトしつつある現実も忘れてはいけない。
こうした背景の下、近年、欧米や新興国からベンチャー企業を取得するといった事例が散見されるが、国として起業家を育成し、その成長を促していくことなく、我が国の国際的競争力を取り戻し、 自国経済の持続的発展を実現することも、世界を牽引していくことも困難な状況であり、 さらには自国で開発された科学や技術ですら、自国で事業化し、 社会、国民に届けることも難しい、極めて憂慮すべき状況と言わざるを得ない。わが国で開発された光通信、 CPU(半導体)、液晶、リチウムイオン電池、等の現況を見ても明らかである。
2018年ノーベル賞を受賞した、本庶佑氏による我が国発の革新的研究成果は、国内製薬企業(共同研究企業を含め)との事業化には取組めず、米国スタートアップとの協業によりその事業化、社会実装に向けた取り組みに着手し、その後、米国製薬大手に買収(M&A)され事業化。
(国内スタートアップエコシステムの未成熟、スタートアップ活用の遅れ)